ABOUT

福岡市は2017年以降、だれも経験したことがない、少子化と高齢化が同時にそして急激に進む未知の課題に対し、行政だけでなく大学や企業など多様なプレーヤーと共に100のアクションを実践する「福岡100」に取り組んできました。2022年には節目である100 のアクションを達成し、次のステージへと歩みを進めています。

なぜ福岡が挑戦するのか?

将来人口推計によると、福岡市は全国でも数少ない人口が増え続けることが見込まれる都市となっていますが、65歳以上の高齢者人口が増加を続ける一方で、生産年齢人口(15 ~ 64歳)が減少し、年少人口(0~ 14歳)は、2020年をピークに減少が始まると見込まれています。

そのため、高齢化率は上昇を続け、2040年には約3人に1人が高齢者になると言われています。また、ある海外の研究によると、日本では2007年生まれの50%が107歳まで生きると言われており、このような人口構造の変化により、社会の支え合いのバランス維持が困難になっています。

また、福岡市は「高齢者の一人暮らし率が高い」という特徴を持っており、高齢者の独り暮らし世帯は、2040年には2015年の2.1倍になることが見込まれています。さらに、共働きの核家族の増加や、年齢、性別、国籍など地域で暮らす人々が多様化するなど、社会環境の変化により、社会サービスのニーズが増えて多種多様になっています。

人口構造の変化(福岡市)

このような大きな社会構造の変化に対応し、超高齢社会においても「持続可能で生活の質の高いまち」とするためには、行政施策を持続可能な制度や仕組みに再構築することにとどまらず、これまでの社会保障体制を規定してきた「パラダイム(価値規範や思想)」を大きく転換し、市民や企業、大学など幅広いプレイヤーの参画を得ながらその発想と手法を取り入れることが不可欠です。

そして健康・医療・介護サービスはもちろん、住まいや地域づくり、働き方なども含めた新たな社会システムを構築していく必要があります。そこで福岡市は、超高齢社会に即した新たな社会システムづくりを加速させるために、2017年に「人生100年時代の到来を見据え、誰もが心身ともに健康で自分らしく暮らせる持続可能な社会をつくるプロジェクト「福岡100」を開始しました。

これまでの取組み事例

認知症フレンドリーシティ・プロジェクト >
認知症とともに,住み慣れた地域で安心して自分らしく暮らせるまち「認知症フレンドリーシティ」を目指しています。
ユマニチュード®
多くの市民が認知症のことを理解し正しい接し方ができるよう認知症コミュニケーション・ケア技法「ユマニチュード」の講座を地域や企業、児童生徒、家族介護者等対象別に行っています。
認知症の人にもやさしいデザイン
認知症の人がストレスなく安心して生活できる住環境を整備することを目的として、「認知症の人にもやさしいデザインの手引き」を作成し、公共的施設への同デザインの導入を行っています。
福岡オレンジパートナーズ・オレンジ人材バンク
認知症の人と企業が双方向で関わりを持ち、商品開発などを行うことで、共に暮らせる共生社会を構築し、認知症とともに長く自分らしく活躍することにつなげています。
地域包括ケア情報プラットフォーム >
断片的に管理されていた保健・医療・介護等に関するデータを一元化。ビッグデータを用いて地域の特性を分析したり、大学や研究機関と連携してデータを解析し、科学的根拠に基づいた政策を立案しています。
オーラルケア28(にいはち)プロジェクト >
全身の健康や、食事・コミュニケーションなどの生活の充実に密接に関わる歯(永久歯28 本)を生涯健康に保つためのプロジェクト。世代ごとに必要な予防につながる企画を歯科医師会や歯科衛生士会、大学などと連携して展開しています。
詳しくはアクションページへ

福岡100が実現したい未来とは?

産学官民「オール福岡」による
持続可能なまちづくりの実現
~関わるすべての人々が主役。「ひと」も「まち」もどちらも幸せになれるまちへ~

「福岡100 プロジェクト」は医療や介護に直接関わる人々だけでなく、大学や企業の知恵や工夫を取り入れて進めてきました。これからも関わる全ての人々が「主役」となり、多様なプレーヤーのつながりから新たなプロジェクトが生まれ、成長できる仕組みを作っていきます。

多様な価値観の尊重、市民一人ひとり、
そして、まち全体のWell-beingの実現
~何歳でもチャレンジできる、誰もが生きがいを持って自分らしく暮らせるまちへ~

これからの時代の「健康」とは「身体の状態」だけでなく「心の状態」や「生きがい」も大事な要素です。誰もが、直面する様々なライフイベントを楽しみながら、自分にとっての「Well-being」について考え、生きがいや自己実現に向けた行動ができる、市民一人ひとり、そしてまち全体のWell-being の実現を目指します。

多世代・多様な人がつなが
るインクルーシブな社会の実現
~多彩な人と人とがつながり支え合い、生きることを喜べるまちへ~

高齢者や障がいのある人をはじめとしてすべての市民が、「ケアされる側」と「ケアする側」という固定化された関係ではなく、それぞれが望む役割を担い、お互いに支えあうことができる仕組みを作っていきます。多世代・多様な人がつながり支えあうことで、誰もが社会の一員としていきいきと輝ける社会の実現を目指します。

福岡100の行動指針~未来を実現するためのアプローチ方法~

  1. ①データは“宝の山” ICT を活用した科学的なデータはもちろん、これまでの” 経験” や” 技” も含めたビッグデータを効果的に使い、より的確で無駄のないサービスの提供を進めていきます。
  2. ②利用者目線をとことん追求 これまでの制度やサービスは子育てや介護、病気など課題ごとにバラバラで提供されていましたが、今後は利用者を中心にサービス・担い手・情報がまとめて提供される仕組みに変えていきます。
  3. ③地域の困りごとはみんなで解決 地域の課題を特定の誰かや世代が背負うのではなく、市民や自治会、企業、NPO、行政などのいろんな組織や機関が、世代や垣根を越えて、連携・協力することを目指します
  4. ④テクノロジーと人間らしさの調和 先端技術のもつ便利さは、ときにリアルなつながりを弱めて孤立を招く危険があります。AI、IoT、ビッグデータなどの”テクノロジー”と、人々の世話や気遣いなどの”人間らしさ”のバランス良い調和を目指します。
  5. ⑤みんなが「自分ごと」と思えるように みんなが、これからの社会や人生で起こる出来事、社会課題に対して当事者意識を持って動き出すきっかけをつくるため、福岡市らしい、新しく、そしてわくわくするような取組みを推進します。
  6. ⑥個性を活かし誰もがまちのつくり手に 福岡市の強みであるアートや文化、クリエイティブの力を積極的に活用した先駆的な取り組みを増やし、一人ひとりの個性が集まり多様なクリエイティビティを発揮できるコミュニティづくりを推進します。

福岡100がこれから向き合う6つのまちこれまでの取組みと社会の動きを踏まえ、重点的に取組む6つの分野をご紹介します。

  1. ①自然に楽しみながら健康になれるまち 心と身体の健康は、高齢者だけでなく誰にとっても生きていくうえで大切な要素です。健康に関心があるかどうかに関わらず、すべての人たちが自然と健康になれる仕組みや仕掛けを作っていきます。
  2. ②デジタル時代の医療サービスが実現されるまち ICTやAIなどデジタル技術を活用することで、誰でもどこにいても必要なサービスを受けられる安心安全の健康医療体制を整備していきます。
  3. ③住み慣れた地域でいつまでも暮らせるまち 年齢を重ねることで、病気や認知症、介護が必要になるなど、多くの変化が訪れます。いくつになっても不安なく暮らせるよう、日常生活のなかで生活を支えるケアを受けられる基盤を作っていきます。
  4. ④だれもが役割をもって活躍できるまち 年齢や病気や障がいの有無などに関わらず、どんな人でも「生きがい」を感じて社会参画・活躍ができる仕組みづくりや場の提供を進めていきます。
  5. ⑤多世代・多様な人がつながりあえるまち 人とのつながりは、人生を豊かにする最も重要な要素の一つです。幅広い世代や多様な人とつながることで、生きることを歓べる社会と支え合いの仕組みを作っていきます。
  6. ⑥自分らしい生き方を選択できるまち エイジングリテラシーの向上、ソフトとハード両面でのバリアフリー化など、人生の最期まで自分で生き方や幸せのあり方を選択できる環境づくりに取り組んでいきます。

最後に

「福岡100」の100アクションの達成はゴールではありません。これからも産学官民「オール福岡」で、「人生100年時代」に向けた、市民一人ひとり、そしてまち全体のWell-beingが叶う、持続可能なまちづくりにチャレンジしていきます。

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